Raison d’etre「The Empty Hollow Unfolds」

「こわいおんがく」と言っても色々ありますし、人によって何が恐いかは様々ですので、一概にこれこそが、と挙げるわけにはいかないものです。

 しかし最大公約数的に恐い音楽を提示することは可能でして、例えばスウェーデンのRaison d’etreなどは、一言で申し上げて恐い音楽とすることができるでしょう。

 ダーク・アンビエントと呼ばれるジャンルの中心的な存在であるこのユニットの特徴を説明すると、本来ならば癒しの音楽のネタとして使われる聖歌隊・鐘の音・弦楽器のアンサンブル、などを組み合わせて反・癒しの音楽に仕立て上げている所にあります。

 実際に聴いてみると、まず暗い。中島みゆきの初期のアルバム、例えば「生きていてもいいですか」なども暗いものですが、Raison d’eterの場合は音響的な暗さで勝負を挑んできます。歌詞は存在しません。断片的なつぶやき声ならありますけれど。水の流れる音が入っている曲もあります。全て暗い方向で。

 人間はもともと暗さを怖れる動物ですので、たかが音楽と言えど、あまりに暗さの度が過ぎると恐くなるという理屈です。

 この記事では、男性のアカペラ独唱から入って鐘の音ひとつ、沈黙の後に襲ってくる真っ暗けな音の波のインパクトが凄まじいアルバムを挙げました。Raison d’eterは10枚以上のアルバムをリリースしていますが、金太郎飴のようにどこを取っても同じ、暗くて恐い音楽を聴かせてくれます。よくもまあこんなに作れるものです。

 メジャー流通に乗っていないので、普通のCD屋さんで手軽に入手できるような音楽ではありません。日本で試聴・購入する方法としては、例えばiTunesがあります。