PIECE OF MY SOUL

90年代を駆け抜けた大ヒットバンド、WANDS。

ボーカル・上杉昇。
ギター・柴崎浩。
キーボード・木村真也。

彼らの曲は毎日のようにCMで流れ、沢山の人にカラオケで歌われました。

しかしメンバーの音楽的嗜好は、もともと基本的にハード・ロック寄りであって、必ずしも「売れセン」狙いのポップな曲ばかりを、つくりたいわけではありませんでした。

特にボーカル・上杉昇の個性は良くも悪くも強烈で、彼が強く求めていたハード・ロックやオルタナティブ・ロック、はたまたグランジといった音楽へのあこがれと、自分に求められている姿との間で大変な苦悶を抱えます。

そのことは彼がWANDSを脱退後、ソロ活動として過去の姿を振り返った際のインタビューなどでもたびたび出てくる話題としてファンの人からは知られています。

この「PIECE OF MY SOUL」は、彼の苦悶と他メンバーの音楽的嗜好に対する葛藤が、逆にバランスでまとめられており、それまでのポップ路線とは一線を画す問題作として、ファンの間でも賛否両論が別れている作品ではあります。

ただし少なくとも私は、特にボーカル・上杉昇のその後の活動への橋渡し的作品としても本作を愛好しています。

上杉昇の、まるでニルバーナを連想させるグランジ調のボーカル。柴崎浩の、エドワード・ヴァンヘイレンやステーブ・ルカサーを彷彿とさせる攻めのギター。一人、第三期への伏線をはらませた木村真也のキーボード。

どれをとっても捨て曲なしの名アルバムだと思います。